幸谷研究室 東海大学総合医学研究所

医学部内科学系血液腫瘍内科造血腫瘍分野

研究内容

難治性造血悪性疾患に対する新規治療を目指した基礎的研究

血液腫瘍は、癌の中でも特に研究が進んでいる分野です。 骨髄移植、イマチニブに代表される分子標的療法、レチノイン酸などの分化誘導療法、 サリドマイドによる血管新生抑制療法など様々な治療法が開発され標準治療法となりました。

私が研修医だったころ、経験からフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病はどんな治療法を行っても治らないと思っていました。 しかし、今、イマチニブを併用することで長期生存する方が大幅に増えました。 また、当時、骨髄移植といえば移植関連死が多く、危険な治療でありました。 担当の患者さんに移植の予定が入ると、"どうぞうまくいきますように"と神様に祈るばかりでした。 それが現在では、安全性が高まり以前では到底適応とならなかった患者さんに対しても移植が行われるようになりました。 その結果、移植適応疾患が拡大し、移植によって完治する患者さんも大幅に増えました。

このように、私が血液臨床、造血悪性疾患の研究に関わったわずか10数年のうちに、 造血悪性腫瘍は、治療法が著しく進化し、それにより治癒率の向上、生存率の向上がもたらされました。 しかしながら、それでも尚、難治性造血系悪性疾患は残され、若い命を含む多くの命が奪われているのが現状です。

そこで、私たちは、これら難治性造血系悪性疾患に対して、従来とは異なるアプローチで新奇治療法を開発することを目標に、 そのための基礎的な研究を行っています。

具体的な柱は

  1. 以前は"ゲノムのごみ"と思われていた領域から転写され、その機能的重要性が発見されてまだ数年である非コードRNAから、 がんの解析を行うこと、また逆に、がんから非コードRNAの新しいメカニズムを探ること
  2. slow progressiveな造血系悪性疾患が致命的な状態になる前にその進行を食い止めることを目指した基礎的研究
  3. 既存の治療法を全て行いつくしても再発してしまった症例に対して、願わくば新奇の治療法が開発されるまで、 または化学療法、放射線療法によって疲弊してしまった臓器予備能が回復するまで、 延命をはかる新奇治療法開発のための基礎的研究

の3つです。

具体的な内容については、今後ホームページ上で述べていこうと思います。

ご興味を持ってくださった方はいつでも、ご説明させていただきますので、ご連絡ください。