幸谷研究室 東海大学総合医学研究所

医学部内科学系血液腫瘍内科造血腫瘍分野

幸谷の出張日記 2011年8月25日

第3回日本RNAi研究会

2011.08.25,26 広島

昨年慶応大学の塩見先生に教えていただき、参加した会。同じ分野の方ばかり、200名弱が2日間顔を突き合わせて討論でき、とても楽しかったので、本年も必ず参加しようと思っていたら、思いがけず、シンポジウムに呼んでいただきました。

今年は200人を超えて、毎年拡大しています。これも会長の広島大学田原先生の御尽力の賜物のように思います。

昨年は忘れられない再会がこの会にありました。そう、6年前は早稲田の学生、今や私たちの分野の若きリーダーがんセンターの小坂先生との再会です。 6年前、生化学学会で小分子RNAとはまるで関係ないAIDの仕事を発表した私のポスターを彼が見に来てくれました。私は、1歳の息子をベビーカーに乗せて、本庶研お荷物ポスドクとしてポスター発表。どんな話の流れだったかは思い出せなかったのですが、気が付くと二人して小分子RNAについて熱く夢を語っておりました。ペーペーだった私たちは、別々の道にすすみましたが、5年以上の月日を経て同じ研究会で、昨年は小坂先生が、本年は私が、シンポジストを務めさせていただきました。彼と私には仕事の先進性に大きなギャップがありますが、それでも、なんだか特別な気がしてなりませんでした。

一般口演の内容は

  • 分泌性miRNAをマーカーとして使おうという多種多様な試み
  • miRNAとmRNAのネットワークを解析したもの
  • 既存の遺伝子では説明のつかない現象をmiRNAから切り込んだもの
  • ある現象においてクリティカルであるmiRNAを同定しようというもの
  • ラッグデリバリの新たな展開
  • そしてmiRNAからあらたな現象をとらえたもの

非常にレベルが高かったと思います。 企業のブースも盛りだくさん

  • 安価な小分子RNAクローニングキット
  • 安価なカスタム小分子RNAリアルタイムPCR
  • 安価な小分子RNAキャリアー
  • 安価なmiRNA array
  • なんと無償shRNA ライブラリー
  • 安価な次世代シークエンサー

きっと9月はお金を一杯使ってしまいそうです。。。

シンポジウムは第一線の先生方のお話でした。 肺がんの研究から、miRNAの黎明期からずっと中心的なお仕事をされてきた高橋先生、 常に世界のリーダーとしてimpringingを研究してこられ、最近は特に世界を驚かすお仕事を連発しておられる佐々木先生、MDとは到底思えない独創的なドラッグデリバリシステムを開発しておられる並木先生、 Cellに出されたお仕事、自閉症マウスモデルを使って、”人間の社会性”の分子メカニズムを探ろうとされているこちらも独創的、かつ壮大なご研究の内匠先生、そして、小分子RNAの世界を牽引されている塩見先生。今回の美喜子先生は、最先端のお仕事を基礎から分かりやすく丁寧にお話しいただいたばかりでなく、私のした少し複雑な質問に対して、まず聴衆にわかりやすくその背景をご説明された後、的確なお答えを下さいました。猿渡賞を受賞され、科学者として多くの女性研究者の憧れの先生は、いつも聴衆思いでいらっしゃいます。

若い若い20代前半の人たちも話しに来てくれました。彼らの希望に満ちたきらきらした目を見ているだけでも幸せでした。私たちの苦手とする遺伝子導入技術についても素晴らしい協力者を得られそうです。 留学先Harvey Lodishの兄弟子にあたる広島大学内匠透先生には初めてお会いできました。Harveyのこと、Bostonのこと、楽しいお話が尽きませんでした。 Harveyのところに行った日本人はわずか。慶応の吉村昭彦先生、そして内匠先生。。お仕事もお人柄も偉大で素敵な兄弟子達の末妹として、恥じないようがんばりたいものです。

昨年にまして実り多い学会でした。

で~、私の発表は???直前に動揺することがあり、準備不足でした。それでなくても、上記素晴らしいシンポジストの中で、実力不足際立っておりますのに。 でも、下手なプレゼンを助けて下さるようにたくさんの方々が質問をしてくださいました。ありがたい気持ちで一杯でした。

来年はラボのみなさんで広島で、素晴らしい発表いたしましょう!きっといい出会いもあること確信しています。

運営面を支えてくださる田原先生、勝谷さん、落谷先生、大段先生、黒田先生、塩見先生、清宮先生、副島先生、恵口先生、立花先生、本山先生、ありがとうございました。

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